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地方拠点から巨大企業との交渉!イオン北海道への営業戦略とその過程について

出前館ではショッピングセンターや百貨店にある店舗の加盟が長年の課題でした。今回、北海道営業所がイオン北海道との提携に成功。様々な困難を乗り越え、いかにして契約締結へと至ったのでしょうか?

プロジェクトの中心人物となった北海道営業所の池田一鷹に話を聞きました。

自己紹介

―まずは自己紹介をお願いします。

北海道営業所の池田一鷹と申します。前職では飲食店に向けて、販売促進や広告の営業をしておりました。出前館には2021年の1月に入社し、1年半ほど経ちました。

ショッピングセンターとの提携は長年の課題

―出前館ではイオンなどのショッピングセンターとの提携に対してどんな思いがあったのでしょうか。

そもそも地方都市ではショッピングセンターは数少ない集客施設です。マクドナルドやケンタッキー、リンガーハットなどの有名チェーン店はもちろん、吉山ラーメンや幌加内製麺など地元の有名店も多く出店しています。

通常の路面店であれば、配達員が商品をピックアップする際に自転車・車を停める場所やお店への入り口について問題になる事はあまりないのですが、大型の商業施設の場合、駐車場や商業施設の入り口から各テナントへの導線についても細かくルールを決めないとトラブルの原因になります。

商業施設毎に独自のルールや条件もあり、それらを11つ整理しないと商業施設内の飲食店が出前館に加盟できない。普段なら、加盟する飲食店のみを説得すれば良いのですが、このような細かな条件を交渉した上で進めなければいけないという点で難度が高く、なかなか加盟が進んでいない状況でした。

イオン北海道との提携に立ちはだかった壁

―ショッピングセンターへの営業が難しい理由はどこにありましたか?

イオン北海道の例でいうと「配達員が、ご来店されているお客様に迷惑がかからないように館内を移動し、商品を運ぶことができるのか」というのが、一番の懸念点で、ルール決めの中で最も注力した課題です。

例えば、エレベーターはご高齢の方やお子さまに優先的に使っていただきたいため、館内の移動でエレベーターを使わないとか、場所によってはエスカレーターも使わないでほしい、また衝突の危険があるため歩きスマホは禁止、というようなご要望を多くいただきました。

今回出前館が提携に至った理由として、日頃からそういった懸念点を課題としてとらえ、社をあげて改善にむけて取り組んでいるという点がポイントでした。

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営業戦略と提携に至った決め手

―イオン北海道との提携に向けての営業戦略についてお聞かせください。

先方担当者と打合せをさせていただく中で、一つひとつ課題が明らかになってきました。それらを解決すべく、私たち現地のスタッフが中心になって出前館の本社営業部や配達を担当する部門の間で何度も相談を繰り返して、すり合わせていきました。

基本的なルールはイオン北海道と決めるのですが、北海道内のイオンごとにもルールがあるので、それをお聞きするために北海道営業所の営業メンバー全員が一斉に北海道内に散らばって、各イオン北海道の担当者との細かい打ち合わせを重ねました。

それを配達部門に共有し、対応可能か否かをすり合わせるのは、限られた期間とエリアが広範囲に渡ることもあってとても大変でした。

―提携に至った決め手は何だと思いますか?

粘り強く調整したことに加えて、イオンのショッピングセンター以外で出前館を使われているテナントの担当者の方が、出前館は配送の品質が良いという評価をイオン北海道の担当者に伝えてくださったと聞きました。やはり、日頃の北海道営業所メンバーの対応が最終的な決め手になったと考えています。

また、配達対応エリアに関しても出前館には強みがあります。北海道各地のイオンのショッピングセンターとなると、函館から釧路、北見まで広範囲になります。どれだけの範囲をカバーできるのかということも気にしていらっしゃったので、北海道で多く使われているフードデリバリーサービスの中では、出前館の配達エリアが一番広いという点も決め手として大きかったと思います。

その他にも、当初の懸念点に対応できるかどうかという課題があったので、北海道に営業所があり、相談しやすいという安心感も、出前館と契約を結んでいただけた理由になったのではと思います。

競合サービスでは効率やスピードが重視されていると感じますが、出前館は品質でも勝負しているという自負があります。他サービスではチャットのみの対応が多い一方、出前館は現地にいるメンバーが電話や直接店舗にお伺いしてご相談に乗ることもあるので、そういった部分が競合他社との差別化に繋がりました。

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テナント店舗へのアフターフォローとコンサルティング

―イオン北海道との提携が決まった後、各テナント店舗へはどのような対応を行ったのでしょうか?

イオンモールへ出入りする許可をいただいたので、各テナントへ出前館への加盟をご提案に伺いました。

フードコートのお店だとカウンターがつながっており、お店同士の距離が近いですよね。他の店舗がやっているからうちもやろう、というように横のつながりがあり、隣接店舗との足並みを揃えていらっしゃる印象を強く受けましたね。それは普段の営業とは違う部分でした。

我々はただ出前館に掲載してもらうだけの営業ではないので、売上を上げるためのアフターフォローやコンサルティングもしっかり行います。まず社内で、イオン北海道テナント限定の送料無料や限定クーポン配布施策の実施を取付けてから、営業メンバーが打合せをする際に、キャンペーン実施時に作成するポスターや動画の掲示許可までをいただく流れでした。

―施策の効果はありましたか?

北海道内の売上を店舗ごとに出すと、TOP10にイオン北海道のテナントがランクインすることが増え、その積み重ねの成果として、北海道全体の売上が10%伸びました。

店舗からも、デリバリー分野で急に売上が伸びたことにより「こんなに売れるんだね」という驚きの声をいただきましたし、Twitterで「出前館 札幌」で検索してみると、送料無料キャンペーンに対する喜びやリピートしたというユーザーのお声もいくつか拝見しました。

私自身も今回のプロジェクトを営業グループ全体に向けて発表することで、大きな達成感を得られました。

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地方拠点から巨大企業への営業のやりがいと面白み

―その後イオン北海道との関係性に変化はありましたか?

最初はメールのみでのやりとりでしたが、今では月に1回はお伺いすることに加えて、ご相談の電話もいただくことが多くなりました。もちろん配達関係の相談や改善要望もありますが、キャンペーンやサービスに関しての前向きなお話をいただくことが多くて、成果に対してしっかり評価していただけたのだなと思っています。

―様々なステークホルダーと交渉し、関係性を深めていけるのも地方営業の醍醐味ですね。

路面店にとどまらず、デリバリーを拡大していくために必要なことは何なのかというのを考えた上で、やってみよう精神で幅広くチャレンジができるのは、自分自身の営業スキルを上げる修行にもなっています。

「飲食店の加盟営業」だけではないので、面白みがあって飽きることがないですね。何でもやるような仕事になってきたなとワクワクする感覚があります。

営業グループ内での発表後「これから関東のショッピングセンターに交渉する際、非常に参考になるナレッジだった」というようなフィードバックもいただきました。

地方拠点は何をするにでも東京の本社から指示や事例を基に活動していくような文化だと思っていましたが、逆に今回は北海道から全国に広げることができました。地方拠点ならではの強みというのを見せることができたのは非常に良かったなと思いますし、このような取り組みをもう一度チャレンジしたいという気持ちもあります。今は、次は何をしようかと、北海道営業所の皆で考えているところです。

今後の展望

―今後はどんなことにチャレンジしていこうと考えていますか?

競合他社でも食べ物以外の日用品などもお届けするリテールサービスが増えてきています。お届けするバリエーションを増やしていくことは一つの大きな価値だと思っていますし、北海道内でも人口が多いところばかりにサービスが集中しているので、いかに細かいところまでお届けできるようになるかも同時に考えています。そういった意味でデリバリーの「幅」を広げていくというのが今後の鍵ですね。

例えば道内でも小樽は高齢者が多いので、それを踏まえた上で何かしらサービスを特化できないかと考えています。そして、そこで得たナレッジを全社へ広げていって、北海道営業所の存在感をアピールできるような営業活動をしていきたいなと思っています。

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