出前館が推進するジョブリターン制度とは?概要と今後の展望
出前館では2022年5月30日より、新たにジョブリターン制度を開始します。その概要や目的、人事採用における今後の展望について、執行役員 経営管理部部長・ 国京正樹(写真右)、同部人事グループの亀田遼介(写真左)に話を聞きました。
ジョブリターン制度の概要
―ジョブリターン制度はどのような制度ですか?
【国京】
過去にさまざまな理由で出前館を退社された方に対して、出前館を辞めた後のご経験などを、また出前館で活かしていただきたいという制度です。会社によっては出戻り禁止がルールで決まっていたりす ることもあると思いますが、出前館では実はそのようなルールがなかったので、新たにジョブリターン制度として制度化した形になります。
例えば介護や配偶者の転勤など、やむを得ない理由で辞める方も結構多くいらっしゃるんです。出前館がすごく好きだけど辞めざるを得なかったというような方に、また来ていただけるといいなと。そういう制度になっています。
ー対象者と採用条件についてはいかがですか?
【国京】
対象者は、かつて出前館に所属していた正社員または契約社員です。給与の条件や雇用形態は出前館を離職した時のものを引き継ぐわけではなく、本人の現状を考慮して、相談しながら決めていくという形になります。
採用フローに関しては通常の採用フローと全く変わりません。かつて出前館にいた方なので、人となりやスキルは大体わかりますから、双方で入社した際のギャップが起きにくいというメリットしかない制度だと思っています。
―いつからスタートするのでしょうか?
【国京】
2022年5月30日からスタートとなり、エンジニアやセールスなどの各ポジションと同様に、ジョブリターン制度用の枠を設けます。希望するポジションについては備考欄に書いていただく形になります。
ジョブリターン制度立ち上げの経緯と目的
―どのような経緯でジョブリターン制度が立ち上がったのでしょうか?
【国京】
まず前段の話になりますが、2年前にLINEと本格的に資本業務提携するにあたり、LINE社から色んな人が出向や転籍で出前館に来ました。社名も夢の街創造委員会から出前館に変更したものの、当 時はまだ企業理念などが定まっておらず、第2創業期としてしっかり整えていこうという話になりました。役員合宿での議論を経て、会社のありたい姿、ミッションやビジョン、バリューをまず作ったんです。その内容は、今年の1月5日に内外に向けて発表しました。
それを受けて、今度はミッションやビジョン、バリューを実現するために必要な行動は何だろうというのを、マネージャーや現場の人に考えてもらっている最中です。5人から10人くらいのグループで、何十回もワークショップをやってもらって、どういう行動が大事かを出してもらい、近々にまとまるところまで来ています。
その行動で会社がありたい姿を作ってもらうということなのですが、人事として話しているのは二つあって、カルチャーを作ることと強い組織を作ること。今回のジョブリターン制度は、一つめのカルチャーの話になります。
カルチャーとは何かというと、我々が決めた行動指針をとる人が多い状態を作ることだと思っていて、そのために採用も教育も定着もさせる、そのための制度も作るという話です。必要な施策のアイディアを出し合い、規程を変えず短期間でできるものとして始めた第1弾が、今回のジョブリターン制度です。
ジョブリターン制度のメリット
―ジョブリターン制度にはどのようなメリットがありますか?
【国京】
一番大きいのは、応募者と企業側双方のカルチャーマッチ。入社前と入社後のギャップが生まれにくいところがメリットだと思っています。
出前館は勢いのある会社ですし、最近では知名度も上がってきており、嬉しいことに応募してくださる方もたくさんいらっしゃいます。ただ、それ故に、 色々とギャップが生じることも出てきました。。なるべくそういうギャップを少なくしたほうが双方にとって、よいと思っています。
企業側のメリットとしては、コストがほとんどかからないところが非常に大きいと思います。やり方を変える必要もありませんし、採用エージェントさんを介さない分、コストを抑えることができます。
それに、こういう会社にしたいという思いを皆さんに伝えられるかなと思っています。出前館を辞めても、出前館に共感してもう一回戻ってこられるというので働きやすさを提供することで、出前館の価値を上げていきたいという思いもあります。今後は採用時や離職時の面談で、一度辞めても帰ってきていいんだよというメッセージは伝えたいなと思っています。
【亀田】
社員の立場から見ても、個人のライフサイクルに合わせる形での良さを感じます。キャリア形成や育児介護で辞めざるを得ないなど色んな事情があるので、そういうところと自己実現との両立という意味でもメリットがあるのかなと。むしろジョブリターン制度をやることのデメリットって、そんなにないんじゃないかなと思いますね。
【国京】
今後は働き方も変わっていって、1つの会社に所属するというよりも、その人のスタイルで、週休3日でいくつかの組織に所属するとか大学院にも通うとか、おそらく色々と出てくると思うので、そういうのに合わせられる仕組みがちょっとずつ必要だなと思っています。その意味での1つめの制度でもあると捉えています。
ジョブリターン制度の今後
―今後はどのように啓蒙、運用していく方針でいますか?
【国京】
ジョブリターン制度を単体で押し出すことはあまり考えていません。どちらかというと、新しく来てくれる人と、これから別の場所へ巣立っていく人に対して伝えていくことが大切だと思っています。面接の際や離職時にきちんとお伝えしていく方向で考えています。
出前館にはリファラル制度(社員紹介制度)もあります。社員を紹介すると一般社員は30万円、エンジニアは50万円をお支払いするという社員向けの制度なのですが、リファラル制度とジョブリターン制度の掛け合わせも適用可能にします。社員同士は会社を離れた後も繋がっていることもありますし、出前館でもう一度働いてみたいなと思っている人も一定数いると思うので、そんな話を聞いたら紹介してもらえたらと。これなら辞めた人も紹介する人も、会社にとってもすごくいい話です。まずは社内向けに、ジョブリターン制度の認知を浸透させていきたいと思っています。
人事採用における今後の展望と期待
―人事採用全体での今後の展望をお聞かせください。
【国京】
これまでは転職エージェントさんや知り合いを通じての採用がメインでしたが、各種イベントに顔を出したり、イベントを企画したり、インターンをやったりと、手法を少しずつ広げていこうと考えています。また、今後は新卒採用にも力を入れていこうと思っています。
直近の経営合宿で人事ワークショップをやって、2025年にどういう組織にしたいかを各本部長から発表してもらってすり合わせるので、それを実現するためには、どういう人を採用して、どういう人を育ててといった振り分け方になってくると思います。2025年の状態としては、フードデリバリーで圧倒的ナンバーワンになっていて、それと同じくらいの事業規模のリテール領域を作れているのはどういう組織だろう?というのをイメージしながら考えています。
【亀田】
経営合宿を控えているのは結構大きなところで、役員レベルで今後の方針をすり合わせると、そこからブレイクダウンして、色んな採用の施策にも繋がっていくだろうなという感じですね。
―第1弾としてのジョブリターン制度とのことですが、第2弾以降はどんな施策を考えていますか?
【亀田】
私個人としては主に評価関係の施策に多く関わっています。全体としては昨年から人事制度や評価制度を変えているという背景があるのですが、新しい評価制度は実行回数が少ないので まだまだ課題も多く、そのあたりを整理したり、執行役員クラスの方の評価や報酬をどうするかというところを整理したりしているところです。ここから半年、1年くらいで、ちょっとずつ構築していく形になります。
【国京】
カルチャーを作るために色々とやっていく話で言うと、何も変えなくてもできるのが一番早くて、そういう意味で即着手したのがジョブリターン制度です。やっぱりコストをかけずにできるものが次にきて、それって社内規程の改定なんですよね。7月頃に リリースする予定で、今色々と仕込んでいます。
【亀田】
出前館では20年前に作った規程が生きていて、全然改定されていなかったんです。社会情勢や法令も変化しているので、グループ会社はどうなっているのかも含めて、世の中はどうなっているのかを見ながら、社員がより働きやすい環境に近づけていければと、規程の見直しをかけていっている状況です。
【国京】
例えば面白いところで言うと、特別休暇で誕生日休暇を作ろうという話をしています。忙しくて周りの状況を見るとなかなか休みにくいという社員もいると思うので、そういう理由をつけてあげるという意味でやってみようと。
「来週金曜、誕生日休暇で家族でキャンプいってきます!」「誕生日おめでとう!行ってらっしゃい!」みたいなコミュニケーションが社内で生まれるといいですよね。そんな感じで、規程を変える中でできることが増えていくので、規程を変えて色々と施策を打っている感じですね。
―ありがとうございました。今後続々と打ち出されていく施策に期待ですね。