エンタープライズとSMB、両部門から見た営業のやりがいとは?
出前館の営業活動をそれぞれのフィールドで推進し、現在はマネージャーとしても活躍する秋吉・宮本。出前館の営業本部を牽引する2人に、仕事のやりがいや活躍する人材についてインタビューしました。
秋吉 愛
営業本部 エンタープライズ営業部 第2グループマネージャー
大手エステティック企業の広報、アパレル企業での店舗開発部門を経て、LINE社(現:LINEヤフー)へ入社。 LINEでオーダーを取るテイクアウトサービスのアカウントマネジメントを経験し、2021年の資本業務提携を機に出前館へ転籍。 現在はマネージャーとして出前館に加盟する大手エンタープライズチェーンとのリレーション構築及びコンサルティング営業を行う組織を担当。
宮本 浩光
営業本部 北海道営業グループマネージャー 営業戦略グループマネージャー
メーカー、人材、スタートアップ複数社を経て、2022年2月に出前館へ中途入社。営業メンバーとして入社し、3カ月で北海道営業グループのグループマネージャーに抜擢。営業戦略グループマネージャーにも配属され、2つのグループを兼務。2023年には全国の営業部署で営業達成率1位を獲得。
業務内容は違えど、相手目線に立った提案活動は共通
── 出前館の営業の仕事について教えてください。
【宮本】
秋吉さんと私は同じ営業本部という組織に所属していますが、業務内容は大きく異なります。“営業”と一言で言っても、出前館の場合はエンタープライズとSMB(Small and Medium Business)に分けられ、私はSMBの営業を担当しています。
SMBは、地元のチェーン、個人オーナーの飲食店さまに向けた営業開拓と、加盟店さまの売り上げアップのための販促支援を行う仕事です。エリアにもよりますが1人あたりの担当数は150社600店舗とかなりの数ですが、数字にこだわりながらも加盟店さまに“寄り添う”ことが重要になってきます。少ない人手で回しているお店が多い中、どのように出前館を導入してもらい、いかにして売り上げアップに繋げるのか。加盟店さまと定期的にコミュニケーションをとりながら、一気通貫でコンサルティングを行います。
【秋吉】
エンタープライズは、大手外食チェーンを担当し、コンサルティングを行っていく仕事です。SMBは新規開拓営業を行いますが、エンタープライズの場合は既存の加盟店さまに対して深耕営業をするイメージです。1人あたりが担当する社数は少なく、売り上げの規模や店舗数は大きいのが特徴ですね。一1つのキャンペーンを打つにしても、影響範囲が広いため、多岐にわたる考慮や調整事項が発生しますし、規模が大きいほど難易度も上がります。担当する加盟店さまとリレーションを築きながら、新たなニーズを引き出し、課題を解決していきます。
── “寄り添う”、“リレーションを築く”という言葉が出てきました。加盟店さまとの関係性の構築が重要な仕事でしょうか。
【秋吉】
まさにそうで、エンタープライズ営業は「誰よりも加盟店さまを深く知っている」状態でなければなりません。そのためには、コンタクト数を増やして、加盟店さまの現状や課題をキャッチアップしていく姿勢が重要です。提案にあたっては、加盟店さまの情報のみならず、出前館自体の知識も必要ですし、サイトの仕組みも熟知している必要があります。こういったあらゆる情報を掛け合わせることで、真に加盟店さまに適した提案ができると思っています。
【宮本】
SMBは量とスピードが求められる仕事なので、“寄り添う”という営業スタイルは一見矛盾しているように思うかもしれません。しかし、この“寄り添い”は、出前館の営業として欠かせない姿勢だと私は思っています。過去、新規開拓営業の提案時に「人手が足りていないからデリバリーまで対応するのは難しい」と断られたことがありました。その際、出前館とは無関係の、飲食店向け採用サービスをご紹介したんです。1ヶ月後にサービスの感想を聞くなどして、定期的にコミュニケーションを図るように心がけていました。
加盟してくださったのは、初回の接触から2年後でした。お客さまにとって必要のない営業をひたすら行うのではなく、「今はどのような状況ですか」「お困りごとはないですか」と寄り添って会話していく中で、リレーションが築かれたんだと思います。そのお客さまは、北海道では誰もが知るような有名飲食企業。これまで積み上げてきたものが実を結んだときは、非常に嬉しかったです。
「廃業しようと思っていたけれど、もう少し頑張ってみるよ」
── 営業本部として、どのようなミッションを掲げているのでしょうか?
【宮本】
大きなミッションとしては、加盟店さまの数を増やしていくこと。コロナ禍においては、飲食店でのイートインが激減したことでデリバリーを導入するケースが増え、デリバリー業界全体で大きな伸びを見せました。
アフターコロナである現在においては、「イートインのお客さまが戻ってきても、デリバリーは必要だ」と言っていただけるような価値提供が必要です。現在の加盟店さまとのリレーションを引き続き構築し、サービスの価値を感じていただくとともに、新規開拓営業にも力を入れています。
【秋吉】
出前館全体としては日用品や医薬品といったフード領域以外にも幅を広げていくというのが中長期的な成長戦略です。今後、フード以外の営業開拓も営業本部として強化していくかと思います。
── お二人が所属する部門の直近のミッションも教えてください。
【秋吉】
エンタープライズでは、以前から重視していたリレーション構築をさらに強化しています。コンタクト回数や、コンタクトの手法を記録して「こちらの加盟店さまとはやり取りが少なく、提案回数も少ないですね」など、可視化できるようにしました。これにより、マネージャーとメンバーの相互で現状が把握できるようになり、リレーション構築に向けてアクションが足りていない部分などが誰が見てもパッと分かる状態になりました。
【宮本】
私が所属するSMBでは、「地域に向き合う」を直近のミッションとして掲げています。その土地における有名企業との向き合い方を工夫したり、地域に根差した企業や団体との協業を進めたり。例えば、北海道グループでは、地元のプロサッカーチームである北海道コンサドーレ札幌と2023シーズンクラブパートナー契約を結び、応援キャンペーンを開催しました。大阪では、大阪市内のバスケットボール大会のスポンサーをしたり、広島では地元の観光企業と広告を打ったりと、全国各地で、その土地ならではの取り組みを始めています。
── 営業として感じる出前館ならではの強みはありますか?
【宮本】
出前館はデリバリー業界の中でも歴史が長いためにユーザー属性が幅広く、特にファミリー層の需要も多いのが特徴です。ファミリー利用が多いと、「チャーハン」単品だけでなく、「チャーハンとラーメンと餃子」という形で品数が増えるので、平均注文単価が高くなってくるんですね。店舗としても、一1回でまとまった注文が入ってくるので、オペレーションを回しやすいという声をよく聞きます。業界最古参の出前館だからこそ獲得できる層だと思うので、営業のひとつの武器になっています。
また、私たち営業の強みでいうと、データを用いた提案力が挙げられます。出前館では、市場の動きを見たり、成功事例や失敗事例のデータを参考にしたりして、事実ベースで提案活動を行うのが原則です。私もこの会社に入って、データに基づく営業とはどんなものか、勉強させてもらいました。
【秋吉】
私も以前のマネージャーからデータに基づく提案の重要さを学びました。「感覚や経験値ではなく、数字で語れ」と学んできたので、自分もマネージャーとして、「データ出してみましたか?どうなっていました?」と、メンバーによく聞いていると思います。数字の見方、活用の仕方を学ぶと提案内容に説得力が増すと実感しています。
また、出前館のLINE公式アカウントの友だち数は約5,000万人で、すべてのLINE公式アカウントの中でも指折りの数を誇っています。ある程度規模感が大きいエンタープライズチェーンのキャンペーンは公式アカウントからの配信をできることも多く、たくさんのユーザーにダイレクトに告知できるのも出前館ならではのメリットと感じていただいていると思います。
── お二人は、どんなところに仕事の面白さを感じていますか?
【宮本】
ユーザーからの声をいただいたときに、この業務の面白さを感じます。私自身、出前館というサービスが好きなのですが、なぜ好きなのかというと、「食の提供」という観点でユーザーの幅が広いからです。営業先で「いつも使っているよ」という声をいただいたり、友人にも「こういうお店が入っているところがいいんだよね」とコメントをもらったりします。「食」は、今後も絶対になくなりません。自分の仕事の成果を身近なところでも感じることができ、やりがいを噛み締めています。
また、今でも印象に残っている加盟店さまとのエピソードがあります。「廃業しようと思っていたけれど、もうちょっと頑張ってみるよ」という声をいただいたことです。元々、イートインの集客に苦戦していたお店でしたが、デリバリーでニーズがあったことで、廃業を踏み止まるに至ったんです。デリバリーの良さは、立地条件に左右されず、飲食店の可能性を引き出せること。営業として、これ以上ない喜びを感じました。
【秋吉】
私も、「出前館の営業担当は丁寧だから他のサービスよりも応援しているよ」という言葉を何度も聞きました。出前館は一生懸命で真面目な社員が多いように感じます。
私が出前館に転籍して、エンタープライズの知識がほとんどなかったときにも、周りのメンバーがすごく助けてくれたんです。相手の目線に立った行動が、文化として根付いているんでしょうね。社内でも、社外でも、一貫したスタンスで人に向き合っていると感じます。
また、エンタープライズ営業は、やはり動かす店舗や売上の規模が非常に大きいです。加盟店さまと伴走してさまざまな施策を講じることで、市場全体の成長にインパクトを出していける仕事であることも、大きなやりがいになる部分だと感じます。
まるでスタートアップ。柔軟さとスピード感がある環境
── 出前館の働く環境について、特徴はありますか。
【宮本】
出前館は歴史もあり、社員数も数百人に及ぶため、中堅・大企業として安定した印象を持たれるかもしれません。しかし、実態は全く違います。私は直近3社がスタートアップなのですが、「”スタートアップ以上にスタートアップっぽい”」ですね。一人ひとりの裁量に委ねられている部分が多く、スピード感が求められる環境です。会社の方針も市況にあわせて柔軟に変わっていきますし、プロダクトの改善も目まぐるしいです。
【秋吉】
細かい仕様やサービスも日々変わっていくので、一生懸命キャッチアップしていかなくてはなりません。「どの情報が最新だっけ……」と足を止めていると、どんどん置いていかれます(笑)。
あとは、チャレンジしたいと思ったらいくらでもできる環境だと思っています。私は元々営業経験が少ない状態で出前館に転籍してきたのですが、周りのサポートもあって成果が出せるように育ててもらい、転籍から8か月目でマネジメントにも携わらせてもらいました。「やってみたら」という声もいただけるし、「やってみたい」を伝えられる環境ですね。挑戦する際には周囲のサポートをしっかりと得られるので、安心感があります。
── 出前館ではどのような方が活躍していると思われますか?
【宮本】
オーナーシップを持っている方が活躍していると思います。仕事を進めていく上では、自分だけではできないこと、自分の部署だけでは解決できないことに多々直面します。その際に、他責にしてしまうと、結局何も進めることができません。
「自分が社長だったらどう考えるか?」「どういう整備が必要なのか?」と、オーナーシップを持って推進できる方は存在感を発揮していますね。私もそういう方と一緒に働けたらいいなと思っています。
【秋吉】
私も宮本さんと近い意見で、成長意欲の高い方が活躍されているように思います。キャッチアップしないといけないことが非常に多い中、コツコツと真面目に、なおかつスピード感を持って身につけていける方を、出前館では歓迎します。
── 最後に、今後の目標を教えてください。
【秋吉】
マネージャーとしては、加盟店さまを安心して任せられるよう、メンバーの成長をサポートしていくこと。既に活躍してくれているコアメンバーには、マネジメント人材になれるように成長を促すこと。それによって、組織を強くしていくことが目標です。
エンタープライズ組織で私が一1番の古株なのですが、それでも不思議なくらい日々発見があります。一つひとつの発見を大切にして、目の前の課題に真摯に向き合い、メンバーと一緒になってミッション達成に向けて駆け抜けていきたいです。
【宮本】
私もマネージャーとして、人を育てることにまっすぐ向き合っていきたいです。視野は広く、視座の高い組織をつくっていけるよう、まずは自分自身がその姿を見せていきたいと思います。
そして、出前館を国内で圧倒的No.1のサービスにすること。これは、揺るぎない目標です。そのためにはまず、各地域でNo.1を取っていきたいと思っています。
取材・執筆/早坂みさと